sasabou2005-08-13


13.「ANTHOLOGYーPioneers Who Got Scalped」/DEVO('00)


 "De-evolution"・・・この単語を略して、バンド名、「DEVO」。"evolution"(進化)に、否定の接頭語"De"をつけて、意は「退化」。そう、彼ら曰く「人類は皆確実に退化している」のだ。コンセプト・アルバムは今や珍しくないが、彼らはコンセプト・バンドなのである。 ・・・なんて書くともの凄くとっつきにくそうですけど(笑)。


 ・・・このサイトの管理人は、ずっと「ZIGGY最高!」だの「ジュリーかっこいい!」だのやってきたわけで、それがなんでいきなりディーヴォだと。テクノポップだと。昨年末、その華麗なる転身っぷりが世間を騒がせましたね(騒がしてません)。でもまあこのバンド自体はわりと前から知ってるんですよ。5年くらい前から。ただちゃんと聴かなかったし、あまり聴く気にもならなかったってだけで。だってその頃僕は哀愁のハードロック命!でしたから(笑)。それがなんでか、大学で取ってた「映画音楽」って講義でこのヒトたち聴かされまして、というか、ビデオクリップ観せられまして、改めて触れたらとにかくすっごい新鮮だったのです。だってシャウトしないし、ギターソロもフィーチャーされないし、どっちかっていうとベースというか低音重視のところにチャラいシンセ、みたいなだし。でもチャチくはなく。


 アナログ絵にこだわってる(た)あたりからもわかるとは思いますが、実は機械使って作った作品に抵抗があったのです。まあエレキギターエレキベースも機械ですが(笑)、・・・まあ、なんというか、鍵盤押せば誰でも同じ音色、とか、ボタンを押せばプログラミングしたフレーズが再生、みたいな感じのが嫌だったのです。これは理屈じゃなくて単なるアナログ主義なんですけど。あえて言えば「そんなノッペラボーな音聴いて楽しいか?」みたいな。今となっちゃお門違いもいいとこですが。で、テクノってその辺モロだと思ってたんで、それはもう嫌いでした。


 で、そこへきてコイツら。モロにシンセです。でもちゃんと聴けばしっかり作りこまれてる・・・ような。なんだろう・・・感触はポップで、ものすごい数の音色使ってるとか、鬼のようにメロディーが交錯してるとかじゃないですが、(ついでに言えば「お芸術」な高尚さもないですが、)原色なのに色に深みがあって、味がある。あとリズム解釈。ひとことで言えばふざけてるとしか思えないリズム。でも合わせて行進できなくもないリズム・・・結局なんというか、このふたつ合わせて、無機的なシンセ音の間から人間くささが滲み出てるというか、その辺とバンドのコンセプトの殺伐とした感じとの微妙な合ってなさが妙に愛らしいというか・・・だんだん何書いてるかわかんなくなってきたぞ(笑)。実はプログラミングのフレーズが主体じゃなくてドラムもシンセもちゃんと生で弾いてたりするんで(つかまんまエレキギター使ってるし)、ぶっちゃけロックバンドと言えなくもないんですよね。ちょっと変態チックですが(笑)。



 で、このアルバムはベスト盤というか、アンソロジーです。訳して「編集盤」(笑)。編集したのは、かの有名なライノ。のっけから「We're all DEVO!」なんてブジ―・ボーイ(マスコット・キャラ)と、彼の父親ジェネラル・ボーイの語りトラック・・・いかにもライノ編集ですね(笑)。デビュー前音源からシングルB面からサントラ提供曲から、全体像は捉えやすい編集になってます。ていうか日本盤はこれ以外みんな廃盤なんで買ったんですが、歌詞対訳はついてません・・・(評論家センセエの解説のえらくカタい対訳はついてますが・・・)輸入盤の方がお買得です、というか、初心者用には多少ごっついんで、一枚モノのフツーのベスト盤のほうが聴きやすいかも。



 で、ここまでダラダラと書いといてなんですが、DEVOは映像付きで見ると、よりわかりやすいです。ビデオクリップ集が出てるんで、ぜひどうぞ。コンセプト・バンドだけあって、みんなで揃えた振り付けとか、コスチュームとか、それはもう笑かしてくれます。絶対わかってやってますけど、この人たち(笑)。