拝啓EMI殿

 前回の日記読み返してたら、なんか『表徴の帝国』みたいだなと思った。なのでよくわからんかったって人は『表徴の帝国』を読んでみるといいと思うよ・・・まあ確実にあっちのほうが難しいと思うってか、たぶん僕の文章がマズいだけな気もする。うん。


 さて。


 今年は結成40年(!)とかフレディー没後20年(!)とかで、クイーンのリマスタリング再発が一気にドカッと為されたりなんてしておるわけですが、しかしこのSHM-CDだの年内生産限定のボーナス・ディスクだのとなんだかいろいろあって正直悩ましい・・・ま、どこにそんな(全部買うほどの)金があるかー!と、単純にそういう事情もあったりするわけなんですが、えー・・・どうなんだ(笑)。



 とりあえずSHM-CDっちゅーのはどうなんでしょ。試しにジュリーの「A面コレクション」('09年再発盤)を借りてきてみたりもしたわけなんだが・・・正直、僕の耳にはそんなに「いい音!」に聴こえなかったりする。「Royal Straight Flush 1971〜1979」('96、通称「白盤」)とか、あとは「Royal Straight Flush」のリマスター再発盤('05)と較べたりもしたんだけど、うーん、違うかなあ・・・。amazonのレビューとかだと「こんなクリアなジュリーは初めて聴いた!」みたいな人まで居るんだが、どうもここ最近のリマスター音源との比較かどうかがはっきりしないので・・・ま、その、「それってずいぶん久しぶりにジュリー聴いたんじゃ?」みたいなツッコミをしたくならなくもない。というか、私は「白盤」(と「黒盤」)で十分・・・って話がすごく逸れてますね。ま、要するに「SHM-CD効果」ってのがちょっと疑問。まあ盤によって「効果」の多寡はあるそうなんだけど・・・で、この「SHM-CD問題」は輸入盤にするのか国内盤にするのかっていうひとつの分岐点になるわけです。


 で、ボーナス・ディスクに関しては、実に気に入らないですよね(笑)。フツーにレギュラー盤を二種類で出せばいいじゃねえかと思うんだが。だいたい間違いなくこの「生産限定版」って後々プレミアつくだろっていう。そんでそこから逆算させた上で、短い期間で買っとかなきゃと思わせよう・・・という魂胆が透け透けなのが、なんとも。なんかね、俺の愛するクイーン(笑)でそういうことやられるのが非常にシャクなんです・・・いやまあ、「俺の愛するクイーン」とかそのように書いてみた(ついでに笑ってみた)が、しかしクイーンって非常に間口の広い、浅くも深くも聴けるよ、っていうバンドだと思うし、その「来る者拒まず」で、エンターテイメントに徹するところがクイーンのクイーンたる所以、最大の「らしさ」だと思うのよね・・・なので、チャチな商売はして欲しくないなあ・・・という、ね。で、これが「生産限定盤」と「通常盤」の分岐点になるわけです。


 そして、だ。


 最後にものっすごく個人的なところになるんだが、僕はわりと'94年のリマスター盤に愛着があるんですよね。どの辺が、っていうと、ライナーノーツなんですけど・・・。や、まあ、音質もまあまあ聴けるレベルだと思うし、その意味での愛着もあるんだけど、それと同等くらいに、'94年盤における「河合美穂」さんなる方の手になるライナーノーツが好きなのですよ。

クイーンは単純なポップロック・バンドには決してなり得ない。一言で言えば『楽しい』の奥が深いのだ。おそらく彼らは、一番苦しい辛い時にこそ、『人生は楽しい!』と笑って言ってしまうような種類の人達なのだろう。落ち込んだ時は、試しに『ジャズ』を聴いてみるといい。たぶん『ドント・ストップ・ミー・ナウ』あたりで、頭を振りながら一緒に声を張り上げ歌っている自分に気が付く事だろう。これはそういうアルバムなのだ、嬉しい事に!


・・・と、思わず引用が長くなったが、しかしどうだろう、実に愛を感じるではありませんか。「河合美穂」さんというのはどうやらクイーンのファンクラブの方らしいのだが、それも納得の、実にクイーンを「わかっている」、愛に溢れた素晴らしいライナーノーツが、'94年盤には全てのアルバムに付属していた。岡村ちゃんじゃないけど、ライナーノーツを読む楽しみみたいなものを意識したのははっきり言ってこの文章群だったと思う。なので、まずはこの'94年盤を買い揃えてから・・・あ、3枚ほど抜けてるんですよ・・・、その後で今回のリマスターに手を出そうかな、とか考えちゃうと益々お金がない!



 ・・・って、最後はなんだかよくわからない話になってしまった気もするが、以上3点考えて、まずSHM-CD効果が微妙であるとしたら(ま、どうだかは聴いてみなきゃ分からないけど)輸入盤に的を絞って、ボーナス・ディスクについては中身を各々のアルバム毎に吟味して・・・って感じで考えているんだけど、きっと考えているうちに年も明けてしまう気がする。ま、悩んでるうちが一番楽しいわけで。


 ・・・しかしそうそう何度もリマスターするってのもどうかと思うが。一発で決定版を出せよな、EMI。