sasabou2004-08-12



3.「magic thetre」/La'cryma Christi('00)


 時は2000年初頭。
 「ラクリマ」というと王道バラードなヒット曲「永遠」、そしてそれにつられて”シュウ”が思い浮かんでしまうという、一番その存在が私の中で気恥ずかしかった時期(皆さんはいかがでしたか?/笑)。いつもの通り夕暮れ時に、某・マイナー気味ロックバンドに優しい・UHF局をなんとなく見ていたらば。



 ♪そして君を〜、殺してしまいた〜い(ドゥ〜ン←重く沈んだユニゾンプレイ)



 ・・・流れてきたのが"Lime rain"のPVだった。な、なんだこれ・・・。思わずア然としてしまった私。・・・コレ、「永遠」演ってたのと同じバンド?


  そんなこんなで、なんだかいろいろ衝撃的なアルバムです。こんな曲が先行シングルなんですから。売れなくても屁のカッパ、なマイナー・ゴシック・ビジュアル系バンドならいざしらず、すっかりお茶の間に名前の浸透しているバンドが、こんな曲をシングルで出すとは(しかも久しぶりのシングルで・・・ほとんど「脱・ビジュアル系」を図っていたように見えたのに・・・)。
 そんなヤバい先行シングルが埋もれてしまうくらい、アルバム曲も濃い。なんせオープニングのタイトル・トラック「Magic Theatre」からして11分も尺があるのだから。その他の曲も、全編これハード・プログレ。シングル5作連続でオリコンtop10に入ったバンドの作る音では、絶対、ない。




 ・・・でも、でもさ?



 モノ作ってるときに集中できるBGMの一つに、確実にこのアルバムは入ってます。なんでか。答えは簡単、緻密で考え抜かれた構成が、クリエイティビティーをいい具合に刺激してくれるから。むしろこのアルバム、モノを作る人なら聴いて損はしないはず。自分の中でのツボのポイント、「あくまでポップながら、マニアック」の、ダークな方向のベクトルを最大まで引き上げると、このアルバムに辿り着く感じですかねえ。シングル「未来航路」から始まる、ラクリマ×岡野ハジメの一連の作品群の中では、間違いなく最高の成果。岡野ハジメもプロデュースしててさぞ楽しかったことだろう(当然大変だったろうけど)(間違いなく売れなさそうだし)。


 ・・・ま、いかにもビジュアル系なイヤな暗さが鼻につく曲もないことはないんですが(カントリー調なアレとか)。ちなみに「永遠」も後年聴き返して「あ、いい曲じゃん」と思ったとか思わなかったとか(笑)。