sasabou2004-08-11



2.「HEAVEN AND HELL II」/ZIGGY('02)


 にかいめー。



 ZIGGYといえば一般的には「歌謡ロック」バンドだろうし、ファンからすればもうちょっと純化して「メロディアス・ロックンロール」バンドだろう。無論私だってZIGGYといえば大ワクで「ロックンロール」バンドだろうなあという認識だ。むろん森重樹一という天才的シンガーのソングライティング・センスと、声がそれだけに収まりきらない魅力的なものにしてるわけだが。


 ・・・そんなZIGGYの、多分に「ロックンロール」と対極にあるアルバム。しかしながら、私にとっては「音楽を聴くことの楽しみ」を味あわせてくれるアルバム。


 ・・・冬の澄みきった空気の中に油絵の具を散りばめた感じ、ですかねえ。リリースされた時期も関係あるのかもしれないけど。なによりまず、この「音」の豊かさに心惹かれる。全曲ミディアムテンポ、ハードな曲も速い曲もない、でも、オープニングの"INNER SPACE FLIGHT #1"なんて、こんなに単純なアコースティックソングなのに、音が後まで残って微かに響く感じが、なんとも暖かい。その他にもジャズ("KISS ME")、ブルース("ウヰスキーと混沌")などの味付けは耳に楽しく、わけても個人的には、妖しくリメイクされたかつてのヒット曲"JEALOUSY"が好み。「聖なる館」の頃のレッド・ツェッペリンを思わせる"LOVE SHINE"の広がりも印象的。「ロックンロール」をわざわざ冠さなくったって、ZIGGYはこんなに豊かなバンドだったんである。



 もちろん言うまでもなく、曲自体もいいです。ジュイチの声もいつも以上に冴えてます。