sasabou2004-08-10


1.「耒タルベキ素敵」/沢田研二 ( '00)


 一回目はこれ。既にあちこちで絶賛されているので、なにも今さら私が・・・という気もするが、たまには欲求の赴くままに・・・(いつも赴くまま、とか言ってはいけない)。


 もうとにかく、なんというか、歌手/ロックンローラー沢田研二のパワーに圧倒されてしまうアルバム。ゴリゴリのハードロックからスカからパワーバラードから、なにからなにまで、息切れするんじゃないかなんてこっちの心配もなんのその、ともかく硬軟、静動、諸々使い分け、全33曲歌い倒すジュリー。ルックス込みで愛された時代は遥か昔、もはやジュリーはロックそのもの、とさえ思わされてしまう。しかもこのアルバムが偉大なのは、全曲違う作曲者、というところからくるのかもしれないが、中身が異常にバラエティに溢れ、かつ、密度が高いところだ。オープニングの「A・C・B」からラスト「耒タルベキ素敵」まで、ほぼ全編テンションを落とすことなく、怒濤の如く様々なタイプの曲が押し寄せる。個人的には、このアルバムの前後で目立つ「シングル曲がパッとしない」というモヤモヤ(なんとなく、ジュリーにはド派手なシングル曲で世間をアッと言わせて欲しい気がするので)を軽く払拭するタイトル曲と、そしてそれすらも埋もれかけてしまいそうになるほどのアルバム曲の充実が嬉しい。T.REXジミ・ヘンドリックスサンタナなどの、洋楽からの遊び心あるフレーズ拝借もまた一興。

 2000年を期して「自身の20世紀の集大成」「記念碑的なベスト盤に代わるものを」というコンセプトで作られたアルバムだが、この、言ってしまえば「ご大層な」コンセプトを、これだけのクオリティーで具現化しえた辺り、「金字塔」という表現がまさにぴったり。惜しむらくはジャケットか(いや、もうほんのちょびっと、アレならばなぁ・・・)。



 ・・・多少ネタ的に言うと、



「トッポジージョ」が「流行った」り、「月からの電波」(じゃなかった、「秋波」)が届いたり、「ハウスキープはまかせてよ」だったり、「キューバな女」が「ケツ振っ」たり、「海に還るべき・だ」ったり、するアルバム(笑)。・・・や、詞に関しては、以降の布石になるような「我が道を行く」(むしろ「我が道を突っ走る」か)路線なので。



 ちなみに、'03年の冬コミ、まだこのアルバムを聴き始めたばっかりの頃だったので、「ベンチャー・サーフ」を口ずさみながら人込みをかき分けてた、なんてビミョーな思い出もあります(なんだそれ/笑)