考えてみたら、僕が最初に押井守の作品に触れてからもうすぐ15年が経とうとしているのだな。



そのときに見た作品は、「機動警察パトレイバー2 THE MOVIE」。いや衝撃的だったな、これは。その当時の僕は10歳で、つまるところ小学生だったわけだが・・・もちろん、「クーデター」とか「この国の欺瞞に満ちた平和」とかよくわからなかったけど(笑)、それこそ映像の官能に魅せられた、と言っていいと思う。静謐な緊張感ーーアニメである、「絵」である、という認識をジワジワと侵攻しながら映画が展開してくることの快感ーーま、ただ単に映像が気に入ったんだわ。

なので、「押井守好きだなあ」とか言うとたいてい帰ってくる反応ーー「見たけど、俺よくわかんなかったわ、あれ」というヤツーーとはハナから方向性が違う。なので話があいませーん・・・っていうか、押井守に限らず、なんかそこまでいろいろ「理解」する必要があるのかしら映画って・・・。



あと、あまり理解されていないが、押井守という人は、実はとてもオーソドックスな演出家だ。「演出って要するに、なにを見せるか、見せないかってこと」と「シネマシネマ」でも言っていたが、本当にこの一線だけを軸にして、しかしそれゆえに実に筋の通った演出をしかける作家だ。だから彼の映画は、始まったら最後、終わりまで気を抜いてはいけない。どこにどんな仕掛けが、それも、極めて視覚的な仕掛けがあるかーーそして、それを丹念に摘み取っていくと、それだけのことをさせる見返りがちゃんとある。映画がストーリーテリングの狭義性を踏み越えて、イメージを倍増させてくるのだ。



なので、まあ恥ずかしげもなく言うのだが、僕の師匠は押井守なんじゃないかなあ。「P1」「P2」、そして「攻殻機動隊」と、実際にそれをそれほど繰り返し見たわけではないけれども、確かに僕の映像的創造性ーー自主映画撮ったりとか、イラスト描いたりとかーーに、それらは深く根を下ろしている。だから「(イラストは)見た人が見たように意味合いを想像してくれれば・・・」とか思ったりするんだろうな・・・と、今納得した(笑)







でもひとつ白状すると、「イノセンス」は好きになれない。絵が止まってこその押井映画だ!(何