PUNCH DRUNKARD

あまりここ数日の日記の流れと脈絡なく唐突にCDレビュー。


・PUNCH DRUNKARD/THE YELLOW MONKEY

ここ数ヶ月で近来稀に見るイエモンブームがやってきていることは既に書いた通りだが、今の手持ちのCDを全て聴き直してなお飽き足らず、ここへきて実家へ置いてきた、最も苦手なこのアルバムまで図書館から借りてきて聴き込んでいるわけで。


ひとことでいうと、「やけっぱちロックンロール」だな、これは。前作「SICKS」で(、TRIAD時代末期の、ごくごく一般的受けしそうな、ティーンエイジャー受けをも視野に入れたバンド像を振り切ってまで)いかにも正当派のロック・バンドになったイエモンが、さて次にどうするかと言えば、もうこれは吉井和哉先生のドメスティックな感性を純化させてどんどん異端化していくしか、説得力のある、進むべき方向性はなかったわけで。加えて、どんどん強固になっていくバンドのグルーブも異常に作用して、結果、重量感たっぷりに、剥き出しで、なにやらやたらドロドロとしたマグマのような情念が、まるごと投げつけられている印象。無駄にぶっといグルーブは、無駄にリアルで、肉感的。重い。重すぎる。「LOVE LOVE SHOW」「BURN」といったシングルで先出されていた日本的な湿気感が、アルバム制作の頃にはかなり煮詰められてしまっていたようで、まるでこれらのシングルをダシにするかのごとく・・・というかこれらの曲すらもドメスティックな度合いを割り増し、化粧直しして、ファンの反応なんかどうでもいい、これが今のイエモン(というか吉井和哉)なのだ、これ以外にないのだ、もうどうしようもないのだ、という切実なまでの開き直りを押し付けるかようこのなアルバムの強引なパワーといったら・・・。セールス的に頂点のこの時期だからこその暴挙。次作「8」の雑多さ、その割に整然とした感じ、とはまるで別次元で、これは仕事中に聴いたら精神的に追いつめられそうだ(笑)。やたら豪気に鳴り響くシンバルとかバカンバカンいってるスネアの音はある意味爽快ですらあるけど。

というわけで、聴くにあたって心構えが必要なアルバム。そんなんイマドキ(10年前だけど)ないって・・・。だが、それがいい。まあその、リリース時に中学生だった自分が苦手意識を持ったのも、なんとなく分かる気がする・・・。それにしても、イギリスまでレコーディングしに行って、かの国においては隠し味的な、僅かに漂う程度に過ぎないと思われるこういう「湿り気」を、バンドの持つ日本的な感性とわざわざ呼応させて、パワフルに具現化する、なんて相当な離れ技だと思う。なかなか興味深いですな。