今、泊まり明けで帰宅、「マルサの女」観てます。や、その、ケーブルTVでやってるのね。


・・・これ、確定申告したことのあるかないかで面白いか面白くないかが変わるよなあ。私は今年経験したんだけど、何年か前に観たときより確実に面白さがわかるぞ(笑)。伊丹さんは実に目の付けどころがイイ(笑)。




それにしても、税務署及び国税庁側の人々の描き方の上手さ、面白さと、ヤクザさんやらなんやらの側の人の描き方のなんとなーく画一的なところとの落差ってのが、気になる。これ要するに、作ってる側の人の良さが出ちゃってるんだろうね。伊丹さんはもの凄く安全で、地に足の着いた、それでいて斜に構えた地点にいる人だから、「母子家庭」とか「三日間家に帰ってない」とかの、人間味溢れる役人さんの描写は小慣れている。でも、取材した情報から作ってる「税務署に怒鳴り込みにくる」とか「愛人をとっかえひっかえ」とかな、ヤバめな人たちの描写は、どこか嘘くさいというか、作り物っぽい・・・。
これが裏目に出ると、「ミンボーの女」「マルタイの女」あたりの、「ヤバめ」をフィーチャーした作品では作品全体が嘘くさくなってくる・・・この辺が、「一般受けは良いが、評論家受けはあまりよろしくない」という伊丹映画の評価に繋がってるんだろうなあ・・・映画って本質的にヤクザな世界だから(笑)。伊丹映画は真面目すぎて、全編に渉る、ストイックですらあるプロップひとつひとつまでの作り込みにすら嫌悪感がしてくる評論家は多いハズだ(笑)。「お葬式」に始まって、「マルサ」まではその辺がまだそんなに気にならないが、勧善懲悪を貫いた(?)「マルサ2」あたりから、この定評が付いてくるようになってくるのも頷ける・・・ま、「静かな生活」あたりのマジメな映画だと、本人のひねった視点と、描いている対象の「汚してはいけない」ようなイメージ、がズレてて、また逆に嘘くさくてアレなんだけどね・・・。



あとは、登場人物がつけてるメガネのフレームが揃いも揃って厚くかつサイズが大きかったりして、ものっそ昭和だな、と思いました(笑)。この映画は昭和末期の精巧なミニチュアでもあるね。・・・あー、「お葬式」と「タンポポ」だけじゃなくて、これも録画しとけばよかったなあ・・・。