「天使は瞳の中に」('01)/田村ゆかり


仕切り直してコナミからの1stフルアルバム。2001年発売。
まずジャケットがなんか違う(笑)。ゆかりんってこういうキャラクターだっけ?っていう・・・どちらかといえば渋谷系とかの感じのシャレたジャケ写で、もう少し言えばこういうのが流行ってたのってこの3年くらい前だったような気も・・・。
中身はそれに準じて、こぎれいなJ-POP路線なのだが、残念ながら、多少ピントがずれた感じは否めない。「プロローグ」から先行シングル「summer melody」へと続く畳み掛け方はなかなかだけど、3曲目「まっすぐな心」の思わずワクワクするようなイントロ・・・が終わった瞬間から、「なにか違う」。要するに、曲とアレンジが合っていないのだ。(楽器出来ないし楽譜も読めない素人の見解ではありますが、)曲の音の数と、バッキングの音の詰め込みが、あまりにバランスを欠いていて、全編に、「アレンジでなんとかしました」という印象を抱いてしまう。さらに、曲の描く世界観はわりあいに典型的なJ-POPっぽい、要するに「ああ、過ぎ去りしジュブナイルな日々・・・」というものなのに、バックの凝りすぎた作り込みがそれを聴き手にストレートに届けていない。ゆかりんの歌も、「間」の多い曲に対して、まだ上手く「間」を伝える歌でアプローチ出来ていない。要するにあまり行間が見えてこないってこと。ゆかりんにも発展途上な若かりし日があったんだなあ、などとついぼんやりを思ってしまったり(まだ若いよ!/笑)。



そんなある種「いびつ」な印象すら受けるアルバムだが、ある意味でこれが、拙い自己表現に甘んじ、体に合わない制服や、行き過ぎた反抗に苛立った、思春期のもどかしさにも似た想いを感じさせるような、不思議な効果をもたらしているように感じるのは私だけだろうか。本来あるべき姿から、380度くらい方向性がずれて、なんとなく目標達成、といったところ。そういう意味で変にリアルで、イノセントな少女性を感じさせる、という意味ではもしかしたらこのアルバムが全作品中で最も効果を上げているのかもしれない。



・・・って、結局誉めてるんだか貶してんだか(笑)。



「in the Oak wood」、「A Day Of Little Girl 〜姫とウサギとおしゃべりこねこ〜 」「青空にあいたい」といったあたりはなかなか悪くないです。「summer melody」はいわゆる「突出した名曲」。以降のシングル曲と肩を並べる、ポップでキュートな「ゆかりん路線」(お な必殺曲。「交差点 赤いバスが 走り出すその瞬間に/「大好きだよ」って叫んで 手を振った」・・・おもわず照れてしまいますな(褒め言葉)。ちなみにこの曲含む「花梨」名義の作詞は、本人他数名の共作だそう。本人の意向がダイレクトに反映されているからか、このクレジットのある詞がアルバム中でもやっぱり優れているように思う。



ゆかりんマニアや、'90年代後期のアイドル声優のテイストが好きなマニア向け、といったところ。もしかしたらゆかりんの全オリジナルアルバム中、優先順位をつけるなら一番最後に聴くのでも構わないアルバムかもしれない。それぐらい次作以降と完成度の差がありすぎる。もっといいアルバムが他にあるので、初めてゆかりんの作品に触れる方は他から先にどうぞ。







・・・なんつーか、かわいくねーなーわし(苦笑)。明日からはもうちょっと甘くなるとなると思いますですよ。