sasabou2004-09-05


6.「THE DOCTOR」/Cheap Trick('86)



 ごきげんよー。
 うっかりしてたらなんか更新途絶えてましたけど、Cheap Trick祭最終章でっす。


 ♪出会いの場所は、小汚い古本屋・・・(誰も分からんて)


 大学入試も間近に控えた、とある1月の初旬。予定されてた授業が無くなって、空いた時間に観に行った映画の帰り、昔馴染みの小汚い古本屋で発見したのが、今回のブツ。ええ、早速保護しましたとも。¥300(当時はチープの'80年代のアルバムって殆どが廃盤だったんですよね・・・有り難いことに今は全部再発されてますが)。


 ちなみに、事前に私がこのアルバムに関して知っていたこと、よっつ。

      1. Cheap Trick史上随一の問題作らしい
      2. 物凄く売れなかったらしい
      3. とにかくヒドいらしい(音作りが)
      4. (どーでもいいんだけど)イミわからんタイトル


 ・・・はい、感想。

      1. なんだこのチャラいシンセは!
      2. なんだこのスカスカしたドラムは!
      3. なんだこの曲の良さは!
      4. なんだこの曲の充実っぷりは!


 ・・・前回取り上げた1st以降、「ポップ&キャッチー」と「ワイルド&マニアック」という二大路線のバランス取りに苦慮することとなった彼ら。その間「In Color」('77)「Heaven Tonight」('78)「All Shook Up」('80)「Next Position Please」('83)といった傑作を発表するものの、結局1stのあのインパクトには勝てず、で、その間に「At Budokan」('78)で世界的トップバンドになったりしつつも、それもだんだん下火になりはじめ・・・そんな時期、それまでの大物起用に代えて、前作でミックスをしてたヒト、トニー・プラットをプロデューサーに立て、半ばヤケクソに作ったとしか思えないのがこのアルバム。いい曲揃ってるけどとんでもないプロダクション。どうしてこんな作品が出来てしまったのか。


 個人的な見解。まず前作「Standing On The Edge」('85)のそこそこのヒット。これを前提として。

      1. 仮定。「Standing〜」でのチャラチャラしたサウンドメイキングは、トニー・プラットのアイディアだった(プロデューサーのジャック・ダグラスはミックス段階から不在だったらしい)。
      2. 時代の音、でもあった(らしい)それが、売れた要素だとレコード会社が勝手に判断。
      3. トニー、プロデューサーに大抜擢!
      4. (1〜3とは無関係に)前作で再び自分たちに注目が集まり、起死回生を狙うなら今しかない、と気合いが入っているバンド側


 ・・・結果、「やたらナンパな音作り」と「やたらいい曲」というとんでもない組み合わせが出来上がる、と・・・うーん、違うかなあ(笑)。ともかく、曲だけならC.T史上随一の傑作。音の風化に耐えられれば聴いて損なし。ヒネリの効いた優良ポップソングが満載です。

 ・・・だって、実質的にC.T随一の問題作は、外部ソングライターの大量起用でとことんC.Tらしさ(いろんな意味でのソングライティング・センス)を殺して全米200万枚のセールスを記録した、大ヒット作の次作「Lap Of Luxury」('88)だと思いますもの、私。


 ・・・といったところで、一旦Cheap Trick祭は終了。いやー他にも「Cheap Trickに武道館はデカすぎ!」論とか「Dream Policeってそんなに傑作?」論とかいろいろあるんですが、ネタなくなると困っちゃうんで。